色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 肉体班がどれだけ過酷な仕事をしているのかは知らない。
 機密情報だから仕事内容を知らないのは当たり前だけど。
 太陽様は睡眠時間を削ってまで働いていることは確かなのだ。

 忙しいとわかっていても。
 会いたくて。
 話したくて。
 でも、実際本人を目の前にしたら言葉に出ない。
 勿体ないよね…
 前はこんなことなかったのになあ。
 緊張なんてしなかったのに…

「……」
 太陽様の声がしたような…気がして。
 ゆっくりと目を開ける。
 この国は夜になると、とてつもなく暗い。
 真っ暗に慣れず、最初は戸惑ったけど。
 少しずつ慣れていった。

 まだ、朝ではないようだ。
 ゆっくりと起き上がって上着を羽織る。
 階段を降りて、ダイニングルームへ向かうと。
 バニラと太陽様が喋っていた。
「あら、マヒル様。起こしてしまいましたか!」
 バニラの言葉にゆっくりと首を横にふる。
「んーん。ちょっと、喉がかわいちゃって」
「すぐに飲み物のご用意を!」
 バニラは言い終えるや否や、台所へと向かう。

「セシルさん。すんません。俺、寝ちゃったみたいで」
 寝起きなのか太陽様の髪の毛は軽く寝癖がついてしまっている。
 そっと、太陽様の横に座った。
「お待たせいたしました。マヒル様」
 座ったと同時にバニラが飲み物を持ってきた。
 深夜にもってこいのホットミルクだ。
「太陽様の飲み物も温め直しましたので」
「すんませんバニラさん」
 ぺこりと太陽様が頭を下げる。

「わたくし、これにてお休みさせていただきますので…」
 バニラを見ると。
 何故か満面の笑みだった。
「あとは、お2人でごゆっくり」
 バニラはパチンと音が聞こえるようなくらい。
 わかりやすくウインクをしてきた。
 私は声を出さずに飛び跳ねてしまい。
 それを誤魔化すために大声で「おやすみバニラ!」と言った。