色褪せて、着色して。Ⅶ~カンパニュラ編~

 柔らかい言い方だった。
 太陽様は怒ることもなく、静かに言い放った。
 トッピーじゃなくて、トペニだよと突っ込みたいところを。
 ぐっと堪える。
 今はそんな細かいところを気にする必要なんてない。

「俺は、セシルさんが決めたことに口出しすることはありませんから」

 太陽様の言葉に、スズメが「セシル?」と言って首を傾げる。
「セシルは私の本名よ」
 と説明すると、スズメは納得したが、「え、本名!?」と言って飛び跳ねる。
 この国で身分の高い者は本名を明かすことはタブーだというのに。
 太陽様だけは、私を本名で呼ぶ。

 太陽様はトペニに「座ってください」と言った。
 トペニは言われた通り座った。
 トペニの横では、話についていけないスズメが困惑してこっちを見ている。
「俺は、肉体班に所属していて。ほとんど家に帰ることが出来ません。正直言えば、セシルさんの夫ではありますが、夫としての役割は果たしていません」
 …急にどうした!?
 太陽様の告白に、スズメとトペニは固まった。
 とはいえ、2人とも。うすうすは気づいているはずだ。
 私と太陽様が政略結婚だということに…

「俺はセシルさんの(そば)にいることが出来ません。セシルさんがピンチのときに助けることが出来ません。だから、俺の方が宜しくお願いします」
 そう言うと。
 太陽様は立ち上がって、頭を下げたのだった。