警報前のふたり


「お2人さんっ」


穂華はいつも通りの表情で見上げてきたが、仮称、天使ちゃんはビクッとした。


「え、何?ナンパ?あたしそういうの求めてないんで、絃には。もう顔飽きた」

「顔に飽きるとかあるんだ」

「ある」

「悪いけど、この子貸してくれない?」

「えー、中学から一緒の友達なんだけど。同クラになった嬉しさ噛み締めあってたんだけど」


穂華の友達?!

しかも中学校からの?!


「聞き捨てならない」

「はぁ?」


穂華も穂華で顔は整っている可愛い子ではあるが、口は悪いしなかなか難のある子ではある。

根は優しいけど。


「でも何で、絃が沙夜に用があるの?」

「なんでも」

「なんでも?ふーん…変なことしたら、地獄の果てまで追い回すからな」

「ひい」

「じゃああたしは帰るとしますか。じゃね、沙夜。絃に変なことされたらすぐ電話頂戴」


天使ちゃんもとい、沙夜ちゃんは頷いた。


暫し沈黙。

奇跡の再会。

顔を少し伏せてはいるが、あの子で間違いない。


「沙夜ちゃん、俺は王子谷絃って言います」

「三倉沙夜…です」


緊張してるのか、目は合わない。