――プルル プルル


携帯が光って、着信音が鳴り響く。

横になっていた体を急いで起こして、あたしは電話に出た。


「・・・由愛??」

「隼、人・・・」

隼人から掛かってくる久しぶりの電話。

自然と涙が溢れて、あたしの頬を伝った。


「由愛・・」「隼人!!」

隼人に言われる言葉は聞きたくなくって、あたしは声を重ねた。

「隼人、あたしまだ好きだよ??何度も嫌いになろうとしたけど、やっぱり無理だよ。そんなに簡単に忘れられるほど隼人はあたしにとって小さい存在じゃなかった。今でも本当に大好きなの。ねぇ、隼人はあたしのこと嫌いになった??あたしは・・・あの頃に戻りたい。」

これが・・今の自分の素直な気持ちだから。

でも、心の中では拒否されると思って心構えしている自分・・・。

情けないなぁ・・・

いつの間にここまで弱くなったんだろ、あたし。

そして、隼人が静かに話し出した。

「由愛、俺さ、受験失敗して・・・それで。」

何も言わずに電話越しで頷く。

「それで・・・ショックで毎日遊んでたんだ。知ってんだろ??本当に、最低な事したって思ってる。だからもう・・・俺は由愛といる資格なんてねぇんだよ。」

鼻をすする音が聞こえてきて・・・。

あたしもそれに耐えられなくなって、涙が止まらなくなった。

「好きでいるのに資格なんてあるの??そんなの誰が決めたの??隼人が勝手に言ってるだけじゃん。あたしは・・・それでも隼人がいいの。ショックで遊んでて無視されてたって、隼人が何人もの女の人と・・・一緒にいたって。隼人が・・・隼人じゃなきゃヤダよ。」

泣き崩れるあたし。

泣くのを堪えているように思える隼人。