学校がひけると、夕方。
 コンビニに寄ってから、澪さんの家へ。

 鍵は家に招待した後くれた。
 別に欲しいと言った訳じゃない。

 ドアを開けると、澪さんは窓ドアを開けて野良猫とじゃれていた。


「あ、零くーん」

「お邪魔します。今日は食べたんですね。偉い。」


 テーブルの上にはパスタの皿と空のアイスクリーム。

 屈んで頭を軽く撫でると、澪さんはニンマリ笑った。


「もっと撫でて」


 ぽんぽん、と頭を軽く叩くと澪さんは猫を抱き上げて笑った。

 野良猫は澪さんになついているらしい。
 うんともすんとも言わない。

 僕たちで猫を撫でていると、澪さんのスマホが鳴った。

 
「あ」


 取り上げて画面を見ると、メールの差出人は、

 寺田祥吾

 いつも同じ男の名前。


「祥ちゃんだ」


 嬉しそうな声に、黙ってスマホを渡すと、澪さんは猛然とメールを打ち始めた。


「寺田さんって、どんな人」

「先輩」

「大学の?」

「同じ学部の。食べれない事とかも相談乗ってくれる」

「ふーん」


 僕は黙って猫を抱き上げた。

 もう100万回位も寺田について同じ会話をしている。


「浮気なんですか。」

 猫を肩に乗せながら、小さく聞く。

「浮気って?」

「僕が居ながら」

「零くんはそんなんじゃないでしょ。」


 じゃあ一体僕はどんなのなんだろう。

 せめて男子高校生だったら拾われて可愛がられたのだが。