不気味な笑い声と共に、再びアスカ様の髪が伸びてきて、王子の身体に巻き付いた。

そのまま王子の身体は宙高くに抱えられる。

アスカ様は顎筋だけでなく、髪筋(髪の筋肉)まで凄まじいのだ!!

「ぐぁぁッ…」

「王子ぃぃ!!」

ギリギリと締め付けられる度に、王子の呻き声が部屋に響き渡った。

痛い!!

普通の二つ結びの髪ならまだしも、おさげの場合、ゴツゴツが食い込んでくるから尚更痛い。

ただならぬ苦痛に顔を歪める王子を見て、ジィヤはアスカ様に悲願した。

「あぁぁ、アスカ様、どうかお許しを!!王子の代わりに、この老いぼれで我慢してくださりませ!!」

「グッ……ジィ…ヤ……ッやめ……ろ……!」

「王子、今ばかりは…ジィヤは王子の言うことをきけませぬ!!」

ジィヤはさらに声を大にして叫び続けた。

皺くちゃの頬に、涙を光らせながら。

「アスカ様!!お願いいたします…!!王子は、この国に必要な人物なのでございます!!この国の将来は、王子に委ねられているのでございます!!どうか、どうか…」

「オマエモ ウルサイ」

「ギョェッ」

もう一本のしょっか…おさげが、ジィヤを縛った。

アスカ様は鬼の形相で、こう言った。

「ダレデ アロウト、ゥチヲ バカニ スルヤツハ ユルサナイッ!!シネェッ!!」

「「ギャァァァァアアアアァァァァアッ……」」

二人はアスカ様の髪の中へと消えていった。

(完)