「…ごめん…」

ただならぬ雰囲気に、さすがのアスカ様も空気を読んだらしい。

珍しく絵文字なしで謝ってきた。

しかし、王子の怒り、悲しみ、憎しみは治まらない。

だって


ヒロキは、もう……


帰ってこねぇんだ……。


「謝って済む問題じゃねぇだろーが!!」

シュンと俯くアスカ様に、王子は怒鳴り続ける。


怒っているのに……喉の奥が苦しくなって、ジワリと視界が歪んだ。

ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう……。

溢れるものを我慢しようと、目頭に力を入れキツく瞳を閉じる。

真っ暗になった瞼の裏に…ヒロキの笑顔が浮かんだ。

「………ヒロ……」

王子の頬を、生暖かい滴が力なく伝った。

奥歯を噛みしめ充血した瞳で、俯くアスカ様を見据えた。

王子の異変を敏感に察知したジィヤは、

「王子、いけません!!」

悲鳴にも似た叫びをあげる。

しかし、今の王子には届かなかった。

そして……

彼は、言った。