エレオノーラが婚約者であるクリストファー・グラッドストンという男性をはじめて見たとき、まず頭に浮かんだのは「随分、体の大きな方ですのね」という、至極シンプルな感想だった。
彼が元々フリーの傭兵だという話は聞いていたけれど、今までともに仕事をした中にも、これほど見事な体躯をした者はいなかった。
見上げるほどの上背に、広い肩幅。長い手足。どちらかといえば力強さよりも敏捷さを感じさせる、非常に引き締まった体つきをしている。
きっと彼は、さぞ腕の立つ傭兵だったに違いない。
短く整えられた黒髪は少しラフな印象で、エメラルドグリーンの瞳が新緑の森を思い出させて、とてもきれいだと思う。
何より驚いたのは、クリストファーの顔立ちがびっくりするほど端正に整っていたことだ。
その男らしく精悍な顔立ちは、右の頬に残る大きな魔獣の爪痕と相俟って、黙っていると近寄りがたくも見えるかもしれない。
けれど、戦いに従事する者の体に残された傷は、それだけ彼らが懸命に魔獣たちと戦った証しであると、エレオノーラは知っている。
痛ましいとは思ったけれど、それを気にする素振りもない彼の様子に敬意を抱く。
ただ、この国の貴族社会がなかなか彼を受け入れないだろうことは、容易に想像できた。
いい悪いの問題ではなく、顔の傷というのは見る者に大きな衝撃を与えるものだ。
それをいたわしく思う者もいれば、見るのも不快だと思う者もいるだろう。
そして貴族社会においては、『美しさ』というものの価値が非常に高い。クリストファーが端正な顔立ちをしているぶん、それを損なう傷痕を嫌悪する者は多いはずだ。
現実問題として、クリストファーが貴族社会で自らの立ち位置を確立するには、これからかなりの努力が必要となるに違いない。当然ながら、それを支える立場のエレオノーラにも、相当の覚悟が求められることになる。
なのに、エレオノーラは今日ここに至るまで、クリストファーの顔の傷のことを、一切知らされていなかった。
(お父さまとお母さまのご様子からして、クリストファーさまのお顔の傷のことは元々知っていらしたようですし……。わたくしに一切事前情報を与えなかったのは、やはりいやがらせの一環なのでしょうね。お兄さまの入れ知恵かしら。……えぇと、こういうのを傭兵のみなさんが使っていらっしゃる言葉で、なんというのだったかしら)
グラッドストン伯爵夫妻と初対面の挨拶を交わしながら、悶々とそんなことを考えていたエレオノーラは、脳内でぽんと両手を打ち合わせた。
(そうそう、たしか『みみっちい』というのですわ。まったく、お父さまもお母さまもお兄さまも、本当にみみっちくて小さな方たちだこと。末っ子のスタンリーが、家族の中で一番誠実でしっかりしていて人として立派だなんて、恥ずかしくはないのかしら)
気になっていたことを思い出せて、スッキリした気分になったエレオノーラが、いよいよ未来の旦那さまと挨拶をしようとしたときだった。
「結婚してください」
(………………はい?)
一瞬、聞き間違いかと思ったけれど、クリストファーの隣に立つグラッドストン伯爵が、こぼれ落ちんばかりに目を大きく見開いて、彼を凝視している。伯爵夫人も表情を強張らせたまま固まっているし、ちらりと隣の両親を見れば、揃ってあんぐりと口を開いて、かなり間抜けなことになっている。
このときエレオノーラが映像魔導具を所持していたなら、無言で連写していたかもしれない。両親の間抜け面を密かに社交界に流出させることができれば、かなり面白いことになっていただろうに、本当に心の底から残念だ。
しかし、今はそんなみみっちいことを考えている場合ではない。
周囲の反応からして、落ち着いた表情のクリストファーが突然プロポーズとしか思えない言葉を口にしたのは、どうやら間違いないようだ。
エレオノーラは戸惑いつつ、婚約者に向けて口を開いた。
「……えぇと、はい。そのために参りましたので……」
我ながらものすごく歯切れの悪い返事になってしまったけれど、仕方がないことだと思う。
婚約者との顔合わせの場で、相手から向けられる第一声が『結婚してください』というのは、なかなか珍しい事態なのではなかろうか。
すでに親同士の話し合いで婚約が成立している以上、今後よほどのことがない限り、エレオノーラはクリストファーの妻になるのだ。
なんだかおかしな空気になってしまった中、グラッドストン伯爵がどうにか話題をつなげているけれど、彼の額に汗が滲んでいるのはきっと気のせいではないだろう。
そんな事態の引き金となった張本人はといえば、これといって慌てた素振りを見せることもなく、最初に顔を合わせたときから今に至るまで、ずっと穏やかな表情のままである。
時折エレオノーラに視線を向けてくることもあるけれど、グラッドストン伯爵の話に相槌を打つ声も、低く淡々としたものだ。
エレオノーラは、困惑した。
(クリストファーさまは、随分落ち着いていらっしゃるようですけれど……。先ほどのプロポーズのようなお言葉は、緊張ゆえの言い間違いということではないのかしら? それとも、傭兵のみなさんの間では、直接プロポーズをしなければ婚約が成立しない、という決まりごとでもあるのかしら)
思い返せば、顔なじみの傭兵たちが「俺……この仕事が終わったら、夜景のきれいなレストランで、恋人にプロポーズするんだ」「やめろ、真顔でフラグを立てるのマジでやめろ」というやり取りをするのを、何度か耳にしたことがある。
ここは夜景のきれいなレストランではないけれど、立派な応接間の窓から望む庭の景色は、実に美しく素晴らしいものだ。
もしクリストファーが、彼なりのルールとマナーに則って、エレオノーラにプロポーズしてくれたということなのであれば――。
(クリストファーさまは、突然押しつけられた婚約者であるわたくしを、前向きに受け入れようとしてくださったうえ、それをきちんと目に見える形で実行してくださったのですね。なんてお優しい方なのでしょう)
グラッドストン伯爵家にとって、家格が上のオルブライト公爵家からの申し出を拒否するのは、ひどく難しいことだったはずだ。
それが、嫡男の出奔という醜聞のただ中であれば、なおさらのこと。
実際、エレオノーラの輿入れに際して生家から出された持参金は、父の見栄もあってか相場通りの金額だった。しかし、専属メイドのひとりとして連れていくことを許されないなど、よほど貧しい家の娘でもない限りあり得ない。
あからさまな、厄介払い。
こんな扱いをされる娘を受け入れたところで、オルブライト公爵家が今後グラッドストン伯爵家になんの援助もしないであろうことは、目に見えている。
公爵令嬢という肩書きを持つエレオノーラがこの家に入ることで、嫡男が起こした醜聞を収束させることは可能だろう。
だが、それだけだ。
一時的な騒動を収めるためだけに、恩を売るような形で娘を押しつけられたグラッドストン伯爵家にとって、将来的なメリットはないに等しい。
にもかかわらず、クリストファーはエレオノーラを受け入れてくれたのか。
親に捨てられたにも等しい娘を、心優しい彼は憐れんでくれたのだろうか。
やがて型通りの挨拶を最後に、婚約者とともに庭へ出る。
――生家であるオルブライト公爵家の庭園は、母の趣味でひたすら絢爛豪華なものだった。とても美しくはあるけれど、あまり長時間いると疲れてしまう場所。
けれど、今目の前に広がる景色は、初夏の植物たちが持つ柔らかな色彩が、繊細な美意識で丁寧に整えられ、いつまでも眺めていたくなるような不思議な清涼感がある。
知らずその景色に見とれていると、少し先を歩いていたクリストファーが、突然勢いよく振り返った。
驚いて足を止めたエレオノーラに、彼は相変わらず落ち着いた穏やかな表情と声で、あなたを妻に迎えることが嬉しいと、必ず守ると言ってくれた。
彼女自身のことを知りたいと、優しい声で互いを理解するための言葉をくれた。
その気遣いに溢れた誠実さに、エレオノーラは泣きたくなる。
(世の中には、こんなにご立派な殿方がいらっしゃるというのに、わたくしのお父さまとお兄さまときたら……!)
何しろ彼女にとって、身近な年上の貴族男性といえば、ここ数年は領主やその後継者がするべき魔獣討伐任務を、ほとんどエレオノーラとスタンリーに丸投げしている父と兄だったのだ。
彼らも、そんな彼らのありようを是としているこの国の貴族社会の人々も、エレオノーラにとってはとても信じがたく、胡散臭いものでしかなかった。
魔獣討伐任務に当たっているときに共闘する騎士や兵士、傭兵たちのほうがよほど信頼できるし、まっとうな人の血が通っているように感じられた。
だから――。
(ありがとうございます、クリストファーさま。これからあなたの婚約者として、わたくし誠心誠意務めさせていただきます)
フィニッシングスクールの学友たちが、ときに嬉しそうな顔で、ときにすべてを達観したような顔で、自らの婚約者について語っていたことを思い出す。
彼女たちの言葉を借りるなら、クリストファーはエレオノーラにとって『大当たり』の婚約者だ。心優しく誠実で、初対面の婚約者にも温かな言葉を向けてくれる。
応接間に戻るまでの短い時間の中で、少しずつ互いのことを知っていく。
まだまだ手探りで、そう深い質問をすることもなかったけれど、その距離感が心地よかった。
幼い頃から、両親や兄と対話する際は頭ごなしに命じられるばかりだったせいか、こんなふうに丁重に扱われると、なんだか不思議な気分になる。
少しだけくすぐったくて、けれどいやな感じはまるでしない。クリストファーが、とても素敵な声をしているからだろうか。
これならば、結婚式までの行儀見習い期間も、きっと心穏やかに過ごすことができるだろう。
彼が元々フリーの傭兵だという話は聞いていたけれど、今までともに仕事をした中にも、これほど見事な体躯をした者はいなかった。
見上げるほどの上背に、広い肩幅。長い手足。どちらかといえば力強さよりも敏捷さを感じさせる、非常に引き締まった体つきをしている。
きっと彼は、さぞ腕の立つ傭兵だったに違いない。
短く整えられた黒髪は少しラフな印象で、エメラルドグリーンの瞳が新緑の森を思い出させて、とてもきれいだと思う。
何より驚いたのは、クリストファーの顔立ちがびっくりするほど端正に整っていたことだ。
その男らしく精悍な顔立ちは、右の頬に残る大きな魔獣の爪痕と相俟って、黙っていると近寄りがたくも見えるかもしれない。
けれど、戦いに従事する者の体に残された傷は、それだけ彼らが懸命に魔獣たちと戦った証しであると、エレオノーラは知っている。
痛ましいとは思ったけれど、それを気にする素振りもない彼の様子に敬意を抱く。
ただ、この国の貴族社会がなかなか彼を受け入れないだろうことは、容易に想像できた。
いい悪いの問題ではなく、顔の傷というのは見る者に大きな衝撃を与えるものだ。
それをいたわしく思う者もいれば、見るのも不快だと思う者もいるだろう。
そして貴族社会においては、『美しさ』というものの価値が非常に高い。クリストファーが端正な顔立ちをしているぶん、それを損なう傷痕を嫌悪する者は多いはずだ。
現実問題として、クリストファーが貴族社会で自らの立ち位置を確立するには、これからかなりの努力が必要となるに違いない。当然ながら、それを支える立場のエレオノーラにも、相当の覚悟が求められることになる。
なのに、エレオノーラは今日ここに至るまで、クリストファーの顔の傷のことを、一切知らされていなかった。
(お父さまとお母さまのご様子からして、クリストファーさまのお顔の傷のことは元々知っていらしたようですし……。わたくしに一切事前情報を与えなかったのは、やはりいやがらせの一環なのでしょうね。お兄さまの入れ知恵かしら。……えぇと、こういうのを傭兵のみなさんが使っていらっしゃる言葉で、なんというのだったかしら)
グラッドストン伯爵夫妻と初対面の挨拶を交わしながら、悶々とそんなことを考えていたエレオノーラは、脳内でぽんと両手を打ち合わせた。
(そうそう、たしか『みみっちい』というのですわ。まったく、お父さまもお母さまもお兄さまも、本当にみみっちくて小さな方たちだこと。末っ子のスタンリーが、家族の中で一番誠実でしっかりしていて人として立派だなんて、恥ずかしくはないのかしら)
気になっていたことを思い出せて、スッキリした気分になったエレオノーラが、いよいよ未来の旦那さまと挨拶をしようとしたときだった。
「結婚してください」
(………………はい?)
一瞬、聞き間違いかと思ったけれど、クリストファーの隣に立つグラッドストン伯爵が、こぼれ落ちんばかりに目を大きく見開いて、彼を凝視している。伯爵夫人も表情を強張らせたまま固まっているし、ちらりと隣の両親を見れば、揃ってあんぐりと口を開いて、かなり間抜けなことになっている。
このときエレオノーラが映像魔導具を所持していたなら、無言で連写していたかもしれない。両親の間抜け面を密かに社交界に流出させることができれば、かなり面白いことになっていただろうに、本当に心の底から残念だ。
しかし、今はそんなみみっちいことを考えている場合ではない。
周囲の反応からして、落ち着いた表情のクリストファーが突然プロポーズとしか思えない言葉を口にしたのは、どうやら間違いないようだ。
エレオノーラは戸惑いつつ、婚約者に向けて口を開いた。
「……えぇと、はい。そのために参りましたので……」
我ながらものすごく歯切れの悪い返事になってしまったけれど、仕方がないことだと思う。
婚約者との顔合わせの場で、相手から向けられる第一声が『結婚してください』というのは、なかなか珍しい事態なのではなかろうか。
すでに親同士の話し合いで婚約が成立している以上、今後よほどのことがない限り、エレオノーラはクリストファーの妻になるのだ。
なんだかおかしな空気になってしまった中、グラッドストン伯爵がどうにか話題をつなげているけれど、彼の額に汗が滲んでいるのはきっと気のせいではないだろう。
そんな事態の引き金となった張本人はといえば、これといって慌てた素振りを見せることもなく、最初に顔を合わせたときから今に至るまで、ずっと穏やかな表情のままである。
時折エレオノーラに視線を向けてくることもあるけれど、グラッドストン伯爵の話に相槌を打つ声も、低く淡々としたものだ。
エレオノーラは、困惑した。
(クリストファーさまは、随分落ち着いていらっしゃるようですけれど……。先ほどのプロポーズのようなお言葉は、緊張ゆえの言い間違いということではないのかしら? それとも、傭兵のみなさんの間では、直接プロポーズをしなければ婚約が成立しない、という決まりごとでもあるのかしら)
思い返せば、顔なじみの傭兵たちが「俺……この仕事が終わったら、夜景のきれいなレストランで、恋人にプロポーズするんだ」「やめろ、真顔でフラグを立てるのマジでやめろ」というやり取りをするのを、何度か耳にしたことがある。
ここは夜景のきれいなレストランではないけれど、立派な応接間の窓から望む庭の景色は、実に美しく素晴らしいものだ。
もしクリストファーが、彼なりのルールとマナーに則って、エレオノーラにプロポーズしてくれたということなのであれば――。
(クリストファーさまは、突然押しつけられた婚約者であるわたくしを、前向きに受け入れようとしてくださったうえ、それをきちんと目に見える形で実行してくださったのですね。なんてお優しい方なのでしょう)
グラッドストン伯爵家にとって、家格が上のオルブライト公爵家からの申し出を拒否するのは、ひどく難しいことだったはずだ。
それが、嫡男の出奔という醜聞のただ中であれば、なおさらのこと。
実際、エレオノーラの輿入れに際して生家から出された持参金は、父の見栄もあってか相場通りの金額だった。しかし、専属メイドのひとりとして連れていくことを許されないなど、よほど貧しい家の娘でもない限りあり得ない。
あからさまな、厄介払い。
こんな扱いをされる娘を受け入れたところで、オルブライト公爵家が今後グラッドストン伯爵家になんの援助もしないであろうことは、目に見えている。
公爵令嬢という肩書きを持つエレオノーラがこの家に入ることで、嫡男が起こした醜聞を収束させることは可能だろう。
だが、それだけだ。
一時的な騒動を収めるためだけに、恩を売るような形で娘を押しつけられたグラッドストン伯爵家にとって、将来的なメリットはないに等しい。
にもかかわらず、クリストファーはエレオノーラを受け入れてくれたのか。
親に捨てられたにも等しい娘を、心優しい彼は憐れんでくれたのだろうか。
やがて型通りの挨拶を最後に、婚約者とともに庭へ出る。
――生家であるオルブライト公爵家の庭園は、母の趣味でひたすら絢爛豪華なものだった。とても美しくはあるけれど、あまり長時間いると疲れてしまう場所。
けれど、今目の前に広がる景色は、初夏の植物たちが持つ柔らかな色彩が、繊細な美意識で丁寧に整えられ、いつまでも眺めていたくなるような不思議な清涼感がある。
知らずその景色に見とれていると、少し先を歩いていたクリストファーが、突然勢いよく振り返った。
驚いて足を止めたエレオノーラに、彼は相変わらず落ち着いた穏やかな表情と声で、あなたを妻に迎えることが嬉しいと、必ず守ると言ってくれた。
彼女自身のことを知りたいと、優しい声で互いを理解するための言葉をくれた。
その気遣いに溢れた誠実さに、エレオノーラは泣きたくなる。
(世の中には、こんなにご立派な殿方がいらっしゃるというのに、わたくしのお父さまとお兄さまときたら……!)
何しろ彼女にとって、身近な年上の貴族男性といえば、ここ数年は領主やその後継者がするべき魔獣討伐任務を、ほとんどエレオノーラとスタンリーに丸投げしている父と兄だったのだ。
彼らも、そんな彼らのありようを是としているこの国の貴族社会の人々も、エレオノーラにとってはとても信じがたく、胡散臭いものでしかなかった。
魔獣討伐任務に当たっているときに共闘する騎士や兵士、傭兵たちのほうがよほど信頼できるし、まっとうな人の血が通っているように感じられた。
だから――。
(ありがとうございます、クリストファーさま。これからあなたの婚約者として、わたくし誠心誠意務めさせていただきます)
フィニッシングスクールの学友たちが、ときに嬉しそうな顔で、ときにすべてを達観したような顔で、自らの婚約者について語っていたことを思い出す。
彼女たちの言葉を借りるなら、クリストファーはエレオノーラにとって『大当たり』の婚約者だ。心優しく誠実で、初対面の婚約者にも温かな言葉を向けてくれる。
応接間に戻るまでの短い時間の中で、少しずつ互いのことを知っていく。
まだまだ手探りで、そう深い質問をすることもなかったけれど、その距離感が心地よかった。
幼い頃から、両親や兄と対話する際は頭ごなしに命じられるばかりだったせいか、こんなふうに丁重に扱われると、なんだか不思議な気分になる。
少しだけくすぐったくて、けれどいやな感じはまるでしない。クリストファーが、とても素敵な声をしているからだろうか。
これならば、結婚式までの行儀見習い期間も、きっと心穏やかに過ごすことができるだろう。
