超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました


「ーーよく眠っているな」

床にうずくまったシャルロットをテオドールが抱き上げて馬車に乗せたが、彼女は一度も起きることなく眠っている。

「サイコメトリーに使用制限があることまで考えが至らなくて、シャルロットに無理させてごめん……」

ユーリは、テオドールが肩に寄りかかって眠るシャルロットのマスカレードマスクを外すのを見ながら、申し訳なさそうに言った。

「恐らく、シャルロットは使用制限の事をわざと隠していたと思う」

テオドールはそう告げた後、少し迷ったが話を続ける。

「……彼女はどうも頑張りすぎる傾向がある」
「情報の読み取りに失敗すると、両親に鞭で打たれていたんだっけ。サイコメトリーで役に立たなきゃ捨てられるって感覚なのかも」
「最初の毒殺未遂事件を解決してくれただけで充分だと言っているのだがな」
「両親から長いことひどい扱いを受けていたようだから、なかなか呪いは解けないだろうね……」

ユーリは心底気の毒そうな声で呟いた。
仮面がなくなったシャルロットは、顔色の悪さが際立つ。
目の下にうっすらクマが見えて、テオドールは眉間に皺を寄せる。

「オニキスとやらは重罪にせねば。催眠術による人格改変など、人間の尊厳を著しく傷つける危険な犯罪だ」
「王族の人格改変や、殺人兵士軍団作成なんかをやる前に捕まって良かったよ……」

ユーリがぼやくとテオドールが、「全くだ」と強く頷いた。

「それにしても、他国の平民の占い師が、よく高価な医薬品のセシュネを入手できたものだ」
「確かに……」
「ジョンが捜査しているだろうから、後で聞くか」