超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました

「ティリトゥーダ・ク・ヨルシェ……。私はルスラド語を知らないから意味まではわからなくて賭けでしたが、ばっちり効果があったようですわ」
「えっそうなの!? 確か意味は『自慢の我が息子よ』だったかな」
「幼いオニキスが父親に抱っこをされて言われている映像が視えたので、彼にとって重要そうだなと思って言ったのです」

オニキスに全部の所業を知っていると言ったのもハッタリだ。
サイコメトリーで読み取った情報を上手く組み合わせて、そう思わせる言い方をしただけ。

「それにしてもシャルロット、ドア越しに聞いていたけれど、よくオニキスを追いつめたね」

シャルロットは目を伏せた。

「……私の父の真似をしただけですわ」

シャルロットにサイコメトリーで情報を探らせて、様々な人達を脅迫していた父親の話術。

「……引きましたか」

自嘲的な笑みを浮かべるシャルロットに、ユーリは悪戯っ子のような顔でポケットから出したものを見せた。
革製の小棍棒(ブラックジャック)。携帯型の打撃武器だ。

「君がやらなければ、僕はこれでオニキスを拷問する気だったよ。引くかい?」
「いいえ」

二人は顔を見合わせて笑い合う。
力を合わせてテオドールを助けたことで、シャルロットとユーリはお互いに戦友のような気持ちになっていた。

ガチャッ

ドアが開く音がして、二人は振り返る。