超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました

『声を聞いて犯人かどうか分かった場合、さりげなく合図を送ってほしいんだ』
『では、犯人なら左のイヤリングを触りますわ』

オニキスが犯人だと知ったユーリは外へ出た後、馬車の中で寝かせていたテオドールを私兵に背負わせて、ドア越しに中の様子をうかがっていたのだ。
完璧なタイミングで突入するために。

(さすがユーリ様だわ)

シャルロットは立ち上がり、床に転がったオニキスを冷たい眼差しで見下ろした。

「お前の所業は全て把握している。
死にたくなければ、テオドール・グレイヴンにかけた催眠を解きなさい」

いつもより低い声で、はっきりと告げるシャルロット。
両手に縄を持ったユーリが、すかさずオニキスの背後に立つ。
オニキスが震えながら何度も頷いた。
そのたびに鼻から流れる血が飛び散る。

「テ、テオドール・グレイヴン。私が手を叩いて目覚めたら、すべて元通り」

そう言った後、パンッ! と手を叩いた。