超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました

『貴族のお嬢様やマダムは、これくらいで赤面するからチョロいんだよなー』

オニキスの心の声と共に、彼に手を握られて頬を染める貴族女性達の姿が次々とシャルロットの脳内に浮かぶ。

適当に占いっぽいことを話しながら、自慢の声で催眠術をかけ、金貨や宝石を少し奪う。
催眠の効きが悪い時は、セシュネを使えば催眠術をかけ放題。
貴族様からすればはした金だし。
催眠を解けば忘れるようにしてるから、問題になったことはないーー

(なるほど、そういう手口なのね。少額なら騒ぎになりにくいと)

『それにしても、仮面つけてても美人だな。サクッと食っちまうか? どうせ催眠で忘れさせるし~』

お香に混じってセシュネの匂いが漂い始めた。
オニキスがテーブルの下で、セシュネの瓶を開けたのだ。

(こいつ、女の敵だわ。二度と悪事ができないよう心を折らないと)

ゆっくりと瞼を開けたシャルロットが、口を開く。

「ティリトゥーダ・ク・ヨルシェ」

それは、サイコメトリーでオニキスから読み取った言葉。
途端に彼の顔色が変わった。