超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました

「いえ、ありません。若い男性の声でしたが、テオドール様が言うように妙に響く低めの不思議な声で、過去に聞いていたら絶対に覚えてます」
「じゃあ少なくとも貴族ではなさそうかな。……脳内に入り込んで来る響く低音、か」
「?」

シャルロットの不思議そうな表情に気付いたユーリが、説明を始める。

「僕は外交官という職業上、説得力や安心感のある話術を知りたくて、よく調べてるんだけどさ。
深く響く低い声って、言うことを聞きたくなったり、暗示にかかりやすいんだって」
「確かに意思関係なく言うことを聞いてしまう感じが怖かったです……」

まるで、脳内に染み込んで書き換えられるような。
シャルロットは思い出してぶるりと震えた。

「しかもセシュネと併用すれば、催眠がかかりにくい人でも、性格を変える強い催眠術をかけられるなんて危険すぎる。
絶対に捕まえないと」

険しい顔でユーリが呟き、シャルロットが頷く。

「犯人は一体、何の目的でこんなことを……」
「犯罪を取り締まるテオが邪魔なんだろう」

つまり、王都にいる犯罪者。

(以前、テオドール様の朝食に毒が入れられた事件の時に、犯罪を取り締まる仕事のせいで方々から逆恨みされてると言っていたものね……)

シャルロットは深くため息を吐きながら、思案する。

「貴族ではない若い男で、響く低い声……あっ」