スパイ少女の逆襲





  今日は私、(たちばな)りりの15歳の誕生日。そして一人前のスパイになる日。

  正直スパイとして自信はないが、
  伝説のスパイ一家、橘家の一員として、家族に認めてもらうため
  今日から頑張りたいと思う。

  私は深呼吸をして家族が集まるダイニングの扉を開いた。


  「 わっ、!」

  
  クラッカーがなり、紙切れが舞い落ちる。

  みんなから 「お誕生日おめでとう」と、
  祝福され、初めてのことに驚きながらも笑顔でありがとうと言った。
  15歳になるまで耐えてよかったと本当に思う。


  「 早速だが、食事の前に言いたいことがある。」

 
  お父さんがコホン、と咳をし、私のスパイのお話かなとか考えながら
  持ってたナイフとフォークを置く。

  父の隣にいた母が意を決したように口を開く。


  「 りり、あなたはスパイにはなれない。スパイ学園に行ってきなさい。」


  え、と私は口を開け、固まってしまった。


  「 お、お母様。なんで ……、
   お兄様たちは15歳の誕生日ですぐにスパイになったのに、私は、?」

  
  なんとか口を動かし、伝えたいことを絞り出す。

  周りを見ると、母は沈黙になり食事に手をつけ始め、兄2人はスマホを触り出し、
  父は下を向きながらぼそぼそ呟いてる。どうやら私以外はみんな知ってたらしい。


  「 私は今まで必死に努力してきたのにっ、」


  私が大声を出すと、父は驚き、ワインを口にした。


  「 だが …… りり、お前は一人前のスパイになる自信はあるのか? 」


  返す言葉がない。だって自信なんてないから。

  私が無言になると兄はそんな私を見てフッ、と鼻で笑った


  「 な?お前はスパイ学園で学んでくるんだ。
   家にお前の居場所はもうないからな。そして ________ 」


  私は最後まで聞かずにダイニングから出た。
  結局私の15年の頑張りは水の泡になったということだ。



  私は枕に顔を当て、泣いて叫んだ。
  最悪の誕生日だ。











  泣き腫らした目を擦りながら朝起きると、
  スパイ学園についての入学書や資料が置いてあり
  手にとって目に通した。

  どうやら私は明日から転入し、寮生活をするらしい。


  「 … そんなに離れたいのかなぁ 」


  泣く気力は無く、むしろもう苦笑してしまう。

  わかってたはずなのに、15歳になったら認めてくれる、そう考えて
  今まで生きてきた私は馬鹿だったみたい。

  今日中に入寮しないといけないみたいなので大事なものを
  スーツケースに入れ準備を始める。


  「 あれ、こんな人形持ってたっけ 」


  ピンクのうさぎの人形を手に取る。

  もしかしたら、家族の誰かが私に誕生日プレゼントを
  くれたのかな、なんてありえないけどその人形も持って行くことにした。