本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


「あ、益田亜沙美さんが社長の方を気に入ってたって話?」
「なに言ってるんですか、違いますよ! そうじゃなくて――」
「そんなことどうでもいいだろ。くだらないことしゃべってないで、早く片付けて戻るぞ」

三柴から冷たい声でぴしゃりと注意されたにもかかわらず、文乃は「おっと、まさかここにも……?」となぜかさらに瞳を輝かせている。

「文乃ちゃん?」
「えー、なんで今まで気付かなかったんだろう! ふふっ、私は誰を推したらいいのかなー。いや、野々花先輩の幸せが一番なのはもちろんなんですけど」
「小瀧」
「わかってます! 同じチームですし、私は健先輩を推しますよ!」
「お前、まじでうるさい」

いつものように軽口を叩き合うふたりだが、野々花はまったく会話についていけない。誰かの応援だとか三柴を推すとか、唐突に出てきた単語ばかりなのに、三柴は文乃の発言を理解しているらしい。