賑やかな相澤がいなくなったことで、室内は再び静まり返る。連れ出されていく時にニコニコしながらこちらを見ていた相澤に首をかしげつつ、野々花は立ち上がった。
「さて。ここ片付けて戻ろうか」
のんびりしている暇はない。自席に戻ったら記者に返信する文面を考えなくてはならないのだ。公式に会社としての見解として出すもののため、通常のメールの返信とは異なり相当気を遣う。もちろん、広報部の上司や相澤、一哉のチェックも入る。
ミーティング前にコの字型に配置したキャスター付きのテーブルをガラガラと動かす野々花に、文乃がキラキラした眼差しを向けてくる。
「野々花先輩!」
「ん?」
「ん?じゃないですよ! なんですか、今の意味深なやり取りは!」
興奮気味な文乃の勢いに押されつつ、野々花は「意味深なやり取りがあった?」と聞き返す。



