しかし、野々花の眼差しに気付いた一哉は心外だと言わんばかりに顔をしかめると、「どうもしない。彼女とは二度と会うこともない」とすげなく言い放つ。
「なんで? ちょっとお騒がせだけど美人だし、一哉だってしばらく恋人はいないだろ? それとも他に好きな子でもいるのか?」
そう尋ねる相澤が、こちらに視線を向けてくる。先ほどまでスキャンダルの多い亜沙美との記事は否定したいと言っていたのに、そんな女性を友人に勧めるなんて、相澤は余程一哉が亜沙美に言い寄られたのを面白がっているらしい。ニヤニヤと人の悪い笑みを隠せていない。
「余計なことはいい。行くぞ」
一哉もこれ以上相手をするのは無駄だと悟ったのだろう。野々花たちに「あとは頼む」と言いおくと、相澤を引きずるようにミーティングルームを出ていった。
(……なんだったんだろう? ま、いいか)



