「へーぇ?」
「……なんだよ」
「いいや、別に?」
両手を頭のうしろで組んでニヤニヤしている相澤は、「そういえば」とたった今思い出したかのように言った。
「益田のお嬢様、俺じゃなく一哉をお気に召した感じだったな。しつこく連絡先聞かれてただろ。どうすんの?」
彼の言葉を聞き、野々花はハッとして再び一哉を見た。益田に直接連絡を取りたいのは、亜沙美のためだろうか。
チクッと胸が痛んだ気がして、片手で胸元を押さえて首をかしげた。
(ん? 気のせい、かな?)
野々花は思考を戻す。一哉と亜沙美は会食時に惹かれ合い、親しくなったのだろうか。もしもふたりの交際が始まるのであれば、彼のマンションに居候しているわけにはいかない。



