「映ってるのは相澤と益田亜沙美だけだが、この場には俺や益田社長、あとは秘書もいたんだ」
「えっ、そうなんですか?」
驚いて声を上げたのは文乃だ。
「そうそう。仕事の話だったのに娘も連れてきたから何事かと思ったら、俺か一哉のどっちかに娘をあてがおうって魂胆丸出しだったもんね」
「……不愉快極まりなかったな」
野々花の思った通り、どうやら会食の場に来ていたのを、相澤と亜沙美のふたりきりで会っていたかのように切り取られているだけのようだ。使い古された姑息な手段だが、他に人がいなかったと記事内に書かれてはいない。『親しげな雰囲気に見える』だとか『見つめ合って微笑みあっていたようだ』とか、主観的で曖昧な書き方をしている。
「ということで、今回は完全な捏造記事だね。相手は取引先のご令嬢だし、過去にも似たような売名っぽいスキャンダルがたくさん出てる。さすがに、そんな相手との記事は否定したいな」
「あぁ。モデル事務所側の売名なのか、週刊誌側が相澤を使いたいのかはわからないが、あきらかな捏造だ。こっちには領収書もあるし、ふたりきりではなく仕事上の会食だったと証明もできる」



