「この【娘を利用し、大物政治家から証券取引等監視委員会に圧力】って……」
「不正取り引きについて内部告発があったんだが、益田亜沙美はとある政治家の息子と関係を持ち、不正の証拠をもみ消す手伝いをしていたんだ。その政治家の息子は既婚者で、父の地盤を継ぐ予定のため、スキャンダルは困ると言いなりになったらしい」
証券取引等監視委員会、通称SESCとは金融庁に設置された機関であり、証券市場の公正性と透明性を確保し、投資者を守る役割を担っている。本来なら益田証券が行っていた不正に対し課徴金納付命令を勧告しなくてはならないところを、亜沙美と関係を持った男性を通じて圧力がかかったそうだ。
「亜沙美さんは……」
「色々と脅した証拠もあるし、当然タダじゃ済まないだろうな。美人局は立派な犯罪行為だ」
相手が相手なだけにどこまで公になるかはわからないらしいが、きっとなにかしらの処罰はされるのだろう。
「それにしても、姉さんの独自の情報網は一体どうなってるんだろうな。相変わらず恐ろしい人だよ」
苦笑する一哉は、そっと野々花の肩を抱き寄せた。



