それだけで許すはずもなく、さらに損害賠償の請求もすると一哉は言う。
「出版社だけじゃなく、例の記事を書いた記者個人にも損害賠償を請求した。どうやら益田亜沙美から依頼される前から、俺をこき下ろす記事を書きたくて周りをうろついていたらしい。あの写真も、世間に出すタイミングを見計らってたんだろう」
「それって、やっぱり以前の経済誌のインタビューが原因ですか?」
そうだとしたら、野々花がうまくあしらえなかったせいで一哉に理不尽な恨みを募らせたのではないだろうか。表情を曇らせた野々花を見て言いたいことを察した彼は、「君は広報として当然の対応をしただけだ」と言った。
「あのあと、強引に写真掲載を迫ったことと、うちの女性社員に不当な言いがかりをつけていたと出版社に抗議して担当を変えてもらったんだ」
「初耳です」
「わざわざ言うことでもないからな」
その当時から一哉は野々花を守ってくれていたのだと知り、一社員として感謝と尊敬の念が湧き上がる。
「あとは、ここ一週間の間に会社やこの辺りをうろつく記者もいたんだけど、全員から個人的に名刺をもらって釘を刺しておいたから、もう来ないだろうな」



