ふいに腕を引かれ、次の瞬間には横抱きにされていた。
「色々話すべきことがあるのはわかってる。だけどまず、君が俺のもとに帰ってきたと実感させて」
有無を言わさず寝室へと向かう一哉に、野々花は彼がなにを望んでいるのかを理解した。
「ま、待ってください。私、今帰ってきたばかりなので!」
「うん、俺もだよ」
「あの、せめて着替えとか、シャワーとか――」
オフィスは空調が効いていて寒いほどだが、通勤時は多少汗ばむ陽気だ。一日働いたままの格好でベッドに上がるのも、そのまま一哉と身体を重ねるのにも抵抗がある。
必死に言い縋る野々花の言葉を聞いてくれたのか、一哉の足はバスルームへと向けられた。



