本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


「ねぇ、そういえば後藤さんの姿が見えないんだけど」

久しぶりに出社するのに懸念していたのは、周囲の視線と後藤の反応だ。前者は、想像以上に好意的で驚いた。すれ違う人がみんな生温かい目を向けてくるような気はするけれど、一哉との関係を批判されたり会社を危機に晒したと避難されるよりはずっといい。

しかし、後藤だけはきっとここぞとばかりに嫌みを言ってくるに違いない。そう身構えていたのだけれど、始業時間を過ぎても彼の姿は見当たらない。

「あぁ、後藤さんなら先週から総務に異動になったんですよ」
「えっ?」
「野々花先輩が帰った日、後藤さん、すごい機嫌悪くて周りに当たり散らしてたんです。『なんで問題を起こしたあいつをクビにしないんだ』って。さすがにみんな呆れ返って誰も相手をしませんでしたけど」

文乃の話では、役付きではなく一社員として庶務課に異動させたと槇原から話があったらしい。槇原は後藤に再三、同僚や後輩に対する言動を注意していたが、改善が見込めないため決断を下したと話したそうだ。

社内広報チームは、これまで後藤の補佐をしていた男性社員がチーフ代理としてやっていくらしい。