本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


野々花の言葉に納得した文乃が、話したくて仕方ないといった様子で身を乗り出した。

「それにしても驚きましたね! 朝イチのニュース見て、やっぱり悪いことはできないんだなぁってしみじみ感じましたもん!」
「宮部さんは、社長から聞いてたんですか?」
「ううん。初耳だったから私も驚いた」

今朝、衝撃のニュースが耳に飛び込んできた。

益田証券会社の社長以下数名の役員が、金融商品取引法違反などの罪で逮捕されたというのだ。内部告発が揉み消され、かなり悪質だったらしい。

「益田証券との契約、切っておいて正解でしたよね。もしそのままだったら、こっちまで飛び火してたかもしれないですもん」
「たしかに。でも益田がやらかしたおかげで、今日は下に誰も報道陣がいなかったな」
「あはは、さすがにうちの社長の顔を狙ってる場合じゃないですもんね」

ふたりの会話を聞きながら、もしかしたら彼はこうなる事態を見抜いていたのかもしれないと感じた。実際、今日は多くの報道陣が益田証券の本社や、社長の自宅前で取材の機会を窺っているだろう。