頑なに顔を出さなかった注目企業のトップがあれほどの美貌を持ち、さらに婚約者を守るために自ら表に出てきたのだ。ドラマチックで大衆受けしそうな美談に、マスコミが飛びつかないはずがない。
そのため、一哉から今週いっぱいは美月のところにいるようにと言われている。
【心配しなくていい。あと数日で報道陣は来なくなるはずだ】
一哉から届いたメッセージにはそう綴られていた。確信めいた言い方だが、数日も経てば熱が冷めるという意味なのだろうか。片手鍋でなすとネギのお味噌汁を作りながら考えても、野々花にはわからない。
(よし、完成。もう少しでご飯も炊けるし、お風呂洗ってこようかな)
一哉はもちろんのこと、ここのところ美月もとても忙しそうだ。
調べたいことがあると朝から家を空けたかと思いきや、自室で一日中パソコンに向かっている日もあった。フリージャーナリストがどんな働き方をしているのか詳しくは知らないけれど、彼女が真摯に仕事に向き合っているのが伝わってくる。



