「ここでは詳細は伏せますが、然るべき機関に証拠を預けています。音声データ、とだけお伝えしておきます」
「では次に、以前まで取り引きがあったとおっしゃいましたが、なにかきっかけがあって取り引きを解除されたのでしょうか。それは今回のことと関係ありますか?」
「いえ、無関係です。こちらも詳細は伏せますが、契約不履行が発覚したため契約を解除しました。当該記事とは一切関わりはありません」
事実だけを淡々と答えると、すぐに他の記者が指名される。それを何度か繰り返したあと、ついに野々花についての質問が投げられた。
「記事では、写真に写っていた女性はネイバークリプトの女性社員と記載がありましたが、その点はいかがでしょうか」
ドキッと心臓が跳ね、固唾をのんで画面の向こうの一哉を見つめる。
「彼女が我が社の社員であることは事実ですが、当該記事では事実と異なる内容ばかりが並んでいます。役職についていますが、それは彼女に相応の実績と、直属の上司からの推薦があったからです」
「では、個人的な関係はないと?」
「記事にあるような不適切な関係ではありません。当該社員とは、現在、結婚を前提に交際しております」



