眠らないことが流行だ。

 学校のクラスで一人だけ眠る習慣を守ると孤立するので、わたしも睡眠をやめる。

 ファッション誌で医学博士が安全を保証している薬をとりよせ、のんだ。

 オレンジ味とともに眠気が消えたので、友だちとメッセージを送りあい、アプリでコミックスを朝まで読む。

 そう言えば今夜は夢のなかでお話ができなかったな、と気づく。

 ――だれとのお話だっけ?

 ちょっと首をかしげ、ひとつぶだけ涙を流した。



(おしまい)