恋煩いの処方箋



「俺もそれは考えてた」
 みんなで夕食を取り和花を寝かしつけた後に私は大和に同居の提案をした。すると「でもその前にやらなきゃならないことがいろいろとあるんだよなぁ」と頭を抱える。
「なにから進めたらいいか悩んでいてさ。のんちゃんを認知して、婚姻届を出す。でもその前に亜子のご両親の所へご挨拶に伺いたい。いや、ご挨拶なんておこがましいな、謝罪するべきなんだ……」
 至極真面目な顔で大和は言う。謝罪ーーと言われて胸の奥がざわつく。
「謝罪だなんて、そんな。知らなかったんだから仕方ないじゃない。私にだって責任はあるし、それにうちの両親は大和のこと憎んだりしてないと思うよ」
 和花の父親が誰なのか、私が話したがらなかったからって言うのもあるけれど、これまで一切詮索するようなことはなかった。それでも突き放したりせず、支えてくれている。
大和は静かに首を横に振る。
「だとしても、亜子やご両親に負担をかけたのは事実だろう。いきなり出てきて父親です、結婚しますなんて、俺なら許せない。だって、もしのんちゃんが二十歳でシングルマザーになったらって考えたら気が狂いそうになるよ」
 そう言って大和は苦笑いを浮かべる。
娘を持つ親の気持ちを改めて考えると大和の言う通りだと思う。私はあまりにも自分のことに精一杯で両親の心の奥にあるだろう苦悩なんて考えることもなかった。
「……真剣に考えてくれてありがとう。ふたりでちゃんと話そう」
 もし、私の両親が大和を責めるようなことがあって、結婚を反対したとしても理解してもらえるまで何度でも伝えるつもりだ。私たちは本当の家族になりたいのだと。
 まずは私の両親に説明をして、結婚の承諾を得てから大和の両親へ会いに行くことになった。大和がそうしたいと譲らなかった。彼なりの配慮なのだと分かっているけれど、大和の両親に失礼はないかとの不安は残り続けている。