グッと拳を握り締めたその次の瞬間、右肩の《痣》が眩い光を放ち出した。
目を覆うほどの眩い翡翠の光が、この不思議な空間を染め上げる。
……熱い。
燃える様な熱さを右肩に感じる。
俺の中にある全ての力が、右肩に集まって行くのが分かった。
……い、一体何が……
ギュッと強く右肩を押さえたその瞬間、俺の体から目も眩む様な光が放たれる。
その光に腕で顔を覆い目を細めると、その光は静かに収まって行く。
そしてそっと目を開くと……俺の目の前に淡い翡翠の光を放つ《剣》が浮いていた。
「……これは」
声を震わせ宙に浮いている剣の柄をそっと握ると、まるでそれは俺の体の一部の様に手に馴染んだ。
その瞬間、ドラゴンが俺に向かって激しい炎を吐いた。
「ロイ!!」
ジルの叫び声が聞こえ、ハッと顔を上げる。
すると視界が一瞬揺らぎ、目の前の炎が急に速度を落とした。
……時間がゆっくりと流れていく感覚がする。
まるでスローモーションの様にゆっくりと近付いてくる紅蓮の炎に向かい、素早く手にした剣を一振りした。
するとその瞬間、炎は跡形も無く消え去る。
突然消えた炎に驚く様に、ジルとセリア……そして少女は大きく目を見開いた。
翡翠の剣を手にしたままドラゴンに走り寄ると、怒り狂うドラゴンの鋭い爪が目の前に迫る。
しかし不思議な事に今の俺にはそれは簡単に見切れ、軽く体を捻って避けるとドラゴンの額目掛けて剣を振り下ろした。
《ギャアアアアア!!》
ドラゴンが額への激しい衝撃に怯み、ドスンと地面を震わせ一歩後ずさる。
……今度は確かな手応えがあった。



