ぼくと世界とキミ


「悪いが、他を当たってくれ。俺達にそんな時間も無いし、わざわざ危険に飛び込む意味は無い」

ジルは俺が答えるより早くそう冷たく言い放つと、そのまま立ち上がり服に付いた泥を払う。

そのジルの答えに少女は悲しそうに瞳を揺らすと、シュンと小さな肩を落とした。

「ジル!そんな言い方ないだろ!?こいつ困ってんだぞ!?それにこの森だって……」

抗議をするようにジルに詰め寄ると、セリアに腕を掴まれたそれを止められた。

「落ち着いてロイ。ジルの言っている事も分かるよ。彼女の話は何とかしてあげたいけど……今はそんな時間は無いでしょ?一刻も早くこの森を抜けてメルキアに向かわないと、フリーディアが手遅れになっちゃうかもしれないんだよ?」

セリアはそう言って諭す様な瞳を俺に向ける。

……そんな事は……分ってる。

「……でも……出口だって見つからないのに」

「出口なら私が教える」

俺の呟きに間髪入れずに少女がそう答えた。

その少女の言葉にジルは静かに俺へ……いや、少女の居るはずのその場所へと視線を向ける。

「手伝ってくれたら私が出口を教えてあげる。……どう?手伝ってくれる?」

少女の問いかけにジルは暫く考える様に俯くと……それから小さく頷いた。

「……いいだろう。他にいい方法も無いしな」

ジルが少し不満そうに承諾し、一際大きな溜息を吐く。

「ありがとう!!結界までは二時間位で着くと思う。ロイ!ついて来て!!」

そう言って少女は嬉しそうに笑って頬を染めると、パタパタと羽を羽ばたかせて森の奥へと飛んで行く。

その小さな少女の後を追う様に歩き出すと……二人もその俺の後を黙ってついてきた。