ぼくと世界とキミ


「この世界の魔力はどんどん失われているの。魔力を糧として生きる私の様な種族は、この森を含めたほんの僅かな場所でしか生きる事ができない。この森は魔力の溢れる地。でも放っておけば魔力は流れ出し、いつか尽きてしまう。それを防ぐために創られたのがその《結界》なの」

そう言って少女は悲しそうに瞳を揺らした。

……その結界が消えかけている……か。

「でも、具体的に何を手伝えばいいんだよ?」

「結界に《力》を注いで《強化》するの。今までも何度かそうやって直してきたんだけど、数百年経つとどうしてもダメになっちゃうから。今回もそうやって直すつもりなんだけど……」

そこまで言って少女は口を噤むと、窺う様に上目遣いで俺を見つめた。

「言ってみろよ」

その俺の言葉に少女はフゥと息を吐くと、それから小さく口を開く。

「結界を守る《守護者》がいるの。その《守護者》を少しだけ引き付けていて欲しいの」

少女はそう言うと、縋る様な瞳で俺を見つめ、答えを待っている。

……結界の守護者……なんか強そうだ。