「……ド、ド、ドラゴンじゃ~ん!!!」
そう叫び目の前の大きな《竜》に向かって指を差した。
赤と黒の堅そうな鱗に覆われた体に、まるで俺達を威嚇するように広げられたままの漆黒の翼。
微かに開かれた口からは鋭い牙が覗き、少し荒い吐息と共に、大地を震わせるような唸りが聞こえる。
「動くな!!動くと襲ってくるぞ!!」
そのジルの叫びに、逃げだそうと上げた足をそっと地面に戻した。
……そ、そんな事言われても……どう見てもこのままじゃヤバいだろ!!
「なぜドラゴンがこんな所に?絶滅したのではなかったのか?」
ジルは青い顔をしたまま驚いた様にドラゴンを見つめている。
その次の瞬間、ドラゴンがゆっくりと……俺に向かって歩き出した。
ドラゴンが一歩踏み出す度にドスンと地震の様に地面が揺れ、普通に立っている事も儘ならない。
ドラゴンはドスドスと地面を揺らしながら、真っ直ぐに俺に向かってくる。
「こっち来たぁあああ!?助けてぇぇぇ!!!」
そう声を上げ縋る様な視線と共に、必死に二人に助けを求める。
「そ、そんな事言われても……」
すでに涙目の俺の視線に、セリアが困った顔をしたのが見えた。
「ちょ、ちょ、ちょ!!おい!!来るな!!止まれ!!」
そう必死に叫びドラゴンに向かってブンブンと首を千切れそうな程横に振って見せるが、ドラゴンの足は止まらない。
……ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいマジでヤバい!!
迫り来る黒赤の竜を見つめたまま、引き攣った笑みを浮かべた。
このままではあの鋭い牙で細かく噛み砕かれた上に、頑丈そうな胃袋で溶かされて奴の栄養として吸収されてしまう……うっ……想像しただけで気分が悪くなる。



