「……ジルにはあるのかよ。この森で生き抜ける自信ってヤツ」

俯いたままそう問い返すと、ジルは何かを考える様に腕を組み……それから自嘲気味に笑った。

「自信は……無いな。だが覚悟はある。俺とお前がここで死ねば全てが終わる。ルークが世界を統べるのが先か……伝説が本当なら世界が滅ぶのが先か。どちらにせよ死ぬわけにはいかない」

そう言ったジルの蒼い瞳が……妖しく揺れる。

ジルが時折見せる瞳は、生きる意志と言うよりも復讐に駆られる淀んだ瞳に見えた。

その瞳が《お前はどうなんだ》と俺に訴えかけ、俺の心を酷く掻き乱す。

「俺には……生き残る力なんて無い。剣の腕だって普通の人よりちょっと強い位だし、俺より強い人なんて沢山いる。魔法だって使えないし……生きる自信も覚悟も無い!!」

……いつの間にか声を荒げていた。

ジルが少し驚いた様に目を丸くしている。

……俺は一体何に怒っているのだろうか。

くだらない質問をしてくるジルに?

セレリアを奪ったルークに?

俺を勇者になんかした神様に?

それとも、何も守る事のできなかった……力の無い自分に?

グッと強く拳を握り締める。