ぼくと世界とキミ


「……マ……ナ」

声を震わせたまま小さくその名を呼ぶと、それに応える様に黒い小さな石は悲しく光る。

(……愚かな人間)

(……醜い人間)

(こんな汚れた世界に……何の意味があると言うのだ)

(共に消してしまおう)



(我が半身……セリア)



マナの声が直接頭に聞こえたかと思うとその次の瞬間、私の胸へとマナが吸い込まれた。

胸に燃える様な熱さと、どこか懐かしく感じる温もりを感じると、私の微かに震える体から黒いオーラが立ち昇る。

そして言い表せない歪な感情が私の中に溢れて行った。

それは私の心を震わせ、揺さぶり、掻き乱す。

マナの感じてきた全ての負の感情が、私の心を支配していくのを感じた。

それと同時に……迫り来る終わりの時を理解した。

どんなにこうならない様に、この未来に辿り着かない様に足掻いたところで……所詮はこうなる運命だった。

そっと後ろを振り返り、愛しい彼を見つめる。

「ロイ……待ってる」

そう小さく呟いて微かに笑みを浮かべると、彼は困惑した様に翡翠の瞳を揺らしたまま……私に向かって手を伸ばした。

しかしその手は私には届かない。

「……待ってる」

もう一度それだけ呟くと、辺りが黒い光に覆われて行った。

    *

セリアの呟きと共に辺りがまた黒い光に包まれたかと思うと……そこにはもうセリアの姿は無かった。

……セリアはやっぱり……

「……セレス……セレスいるんだろ!!出て来い!!」

グッと拳を握り締めたままそう力の限り叫ぶと、辺りが眩い白い光に包まれた。