村に着くと……そこは森と同じ様に激しい炎に包まれていた。
辺りには無残に殺された魔物達の死体が転がっている。
残酷なまでに切り刻まれ、この世の全てを恨む様な光を失った赤い瞳が僕を虚しく見つめている。
その瞳に見つめられたまま、フラフラと村の奥へと進んで行く。
ガラガラと燃え盛る家屋が崩れ落ちる音が聞こえ、それが巻き上げる森の赤い灰を茫然と見つめたまま歩き続ける。
紅蓮の炎に揺られるまま進み続けると、家の前に血だらけで倒れている……アッシュの姿を見つけた。
「……アッシュ!!」
彼の名前を叫びながら走り寄り彼を抱き起こすと、アッシュの体は傷だらけで、腹部には抉られた様に深い傷があるのが見えた。
そこから夥しい血が溢れる様に流れている。
その痛々しい姿にどうしようも無い悲しみが押し寄せ、僕の頬を涙が伝った。
「アッシュ!!」
もう一度強く彼の名を呼び肩を揺すると、アッシュがゆっくりと目を開いた。
「……よお……ルーク。……なに……泣いてんだよ?」
そう言って血だらけのアッシュが優しく微笑む。
「……ごめん……ごめん……全部、僕のせいだ」
ボロボロと涙を流しながら、目の前の現実から逃げる様に強く目を瞑る。
「……男のくせに……泣いてんじゃ……ねェ……よ」
そう言ってアッシュが震える手を伸ばし、僕の頬を伝う涙を拭った。
「……お前の……せい……なんかじゃ……ない……ゴホッ!!」
急に咳き込んだアッシュの口から溢れる様に真っ赤な血が流れ、それは僕の服を真っ赤に染め上げる。
「……どうして……こんな風に……なっちまうの……かな」
真っ赤に染まった手を空に掲げ、悲しそうにそれを見つめたままアッシュが小さく呟いた。
「……お前と……会ってから……人間も……悪く……ないな……って……思って……たんだ」
そう言ってアッシュは静かに目を閉じる。
「……でも……やっぱり……人間と……魔物は……一緒には……生きられ……ないの……かな」
アッシュの閉じられた瞳から、透明な涙が溢れて行く。
「……この……世界の……どこにも……無いんだ……俺達の……居場所は」
アッシュは震える声でそう言うと、掲げていた手を下ろし弱々しく笑った。



