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「お前はここに隠れてろ」
そう言ってニヤリと笑うと、貯蔵用に掘っておいた床下の穴にフィロを押し入れた。
それにフィロは体を捩って抵抗すると、真っ直ぐに俺を見つめる。
「ねぇアッシュは!?」
フィロはそう言って不安そうに赤い瞳を揺らすと、縋る様に俺の腕を掴んだ。
「大丈夫だから心配すんなって!!」
涙ぐんで震えるフィロをギュッと抱き締め、まるで小さな子供をあやす様にポンポンと頭を撫でる。
するとフィロは細い肩をカタカタと震わせ、俺をきつく抱き締め返す。
その彼女の温もりは俺の胸を痛い位に締めつけ、言い表せない感情が沸々と湧き上がった。
……人間。
……また俺達の《居場所》を壊しに来るのか。
「どうして……こんな事に」
俺の胸に縋り付いたまま、フィロが小さく呟いた。
それに促される様に窓の外に視線を向けると、そこは一面に《赤》が広がり、それが無慈悲に全てを呑み込んで行くのが見える。
……森が燃えていた。
そして俺達の……大切な《居場所》が。
赤い炎が瞬く間に広がり、村を業火が焼き尽くす。



