……汚い。
……汚い。
……汚い。
頭の中に繰り返し、その言葉だけが巡った。
その間も優しい彼等との記憶が過り、強く膝を抱えたまま泣き続ける。
……どうして僕はここにいるんだろうか。
……どうして僕は何も出来ないんだろうか。
……どうして……どうして……
「……アッシュ」
大切なトモダチの名を呟いたその瞬間……右手の甲にある『痣』が黒い光を放ち出した。
黒い光が辺りを照らし、そしてその光はまるで僕を誘う様に妖しく揺らめいている。
……《力》を感じた。
震える手をそっと伸ばし右手の『痣』に手を触れたその瞬間、辺りが眩く光り思わずギュッと目を瞑る。
それから静かに目を開くと、そこには……黒いオーラを纏った大きな剣が僕の目の前に浮いていた。
……この力なら彼等を救う事ができるのだろうか。
……僕の大切なモノを守れるのだろうか。
そんな事を考えたまま、そっと剣を手に取った。
その剣はまるで自分の体の一部の様に手に馴染む。
……行かなくちゃ。
剣を鉄格子に向けて一振りすると、大きな爆音と共に道が開いた。
その爆音に気付いた兵士達が、バタバタと階段を駆け下りてくる足音がする。
……僕は……行かなくちゃ。
驚愕の瞳を揺らす兵士達に向かい剣を構えると、静かに目を閉じ……それから僕は走り出した。



