ある朝、いつもの様に森に出かける準備をしていると、母が部屋に入ってきた。
「何か御用ですか?……母様?」
「どこに行くのですか?」
その問いと共に、母の冷たい視線が真っ直ぐに僕に向けられる。
まさか森で魔族に会っているなどと言えるはずもなく、何も答えないまま静かに俯いた……その瞬間。
パンッと急に聞こえた音から数秒遅れて、母に頬を叩かれたのだと理解した。
頬がジンジンと痛み、頬に手を触れたまま母を見つめる。
「お前はグレノア王家に泥を塗るつもりなのですか!?」
母のヒステリックな金切り声が、僕の部屋の中に響き渡った。
「知らないとでも思っているのですか!?毎日の様にどこに出かけているのかと思えば……あんな魔物なんかと!汚らわしい!!」
母のその言葉にグッと息を呑み、唇を噛み締める。
……最悪だ。
……後をつけられていたらしい。
「今日あの森を焼き払い……魔物は全て処理します!あんな怖ろしいモノがこんなに傍に居たなんて!!」
「待って下さい!!」
母の言葉を遮る様にそう叫ぶと、ゾロゾロと兵士達が部屋に入ってきた。
「……連れて行って」
母がそう呟くと、兵士達は僕の周りを取り囲んだ。
「話を聞いて下さい!!……母様!!」
何度も母に向かい必死に叫び続けるが……そのまま引きずられる様に、地下の牢屋へと連れていかれた。



