ぼくと世界とキミ


スタスタと歩くアッシュの後をテコテコと追いながら進んで行くと、村で一番大きく立派な家の前に辿り着いた。

「ここが俺の家!!」

アッシュはそう言って笑うと、トンっと僕の背中を押す。

アッシュに促されるままに家のドアを開けると、目の前に女の人が立っていた。

銀色の長い髪に、白く透明な肌。

そしてまるで人形の様に整った綺麗な顔に、それからアッシュと同じ……赤い瞳。

……彼女も魔族なのだろうか。

「……おかえり」

女の人は不機嫌そうにそう言うと、窺う様に僕を見た。

上から下までまるで品定めでもするかのように僕を見ると、女の人はキッとアッシュを睨みつける。

「ただいま……フィロ」

そう言ってアッシュは少し引き攣った笑みを浮かべると、困った様に僕と女の人を交互に見つめた。

「えっと……こちらは俺の奥さんのフィロ。で、こっちは、あの……その……俺の……えっと……トモダチのルークです」

アッシュはそう言って互いの自己紹介を勝手に終えると、ボリボリと頭を掻いて気の抜けた笑みを浮かべた。

「反対だって言ったでしょう?」

フィロと呼ばれた女の人は、どうやら怒っているらしい。

彼女の言葉には明らかに嫌悪の感情を読み取れる。

……僕のせい……かな。

「私……どうなっても知らないから」

女の人は小さくそう呟くと、早足で外に出て行ってしまった。

アッシュは離れていく彼女の背中を切なそうに眺めながら、深いため息を吐くと叱られた子供の様にシュンと肩を落とした。

窺う様にアッシュを見上げると、僕の視線に気付いたアッシュが顔を上げて僕を見つめる。

「何か……ごめんな?アイツさ……家族を全員、人間に殺されてるんだ。だから……」

「僕、気にしてないから」

アッシュの言葉を遮る様にそう答えると、アッシュはほんの少し悲しそうに笑ってポンポンと僕の頭を撫でた。