完全に日が落ち、今では空に美しい満月が光っている。
……やっぱり来てくれないのか。
真っ暗な一人ぼっちの森の中、そっと悲しい月を見上げながら考える。
……人と魔物は仲良くなれないのかな。
……やっぱり彼は魔物で、そして僕は人間。
……そんな二人はトモダチにはなれない。
……それなら僕は……魔物になりたい。
……父様や母様の様な人間よりも、ずっと……ずっと……彼等の方が気高いのではないのだろうか。
そんな事を漠然と考えていると、急にゴンと頭に鈍い衝撃を受けた。
視界が一瞬揺らぎ、でもその痛みに僕の胸が微かに高鳴る。
「いつまで待ってんだよ……バーカ」
勢いよく振り向くと、そこには……赤い瞳の男が立っていた。
男は少し照れたように頬を指で掻きながら、僕と目を合わそうとしない。
「来てくれたの?」
ニッコリと満面の笑みを向けると、男が少し困った様な顔をした。
「夜にこんな所に居たら食われるぞって……昨日言わなかったか?」
男のその言葉に、コクンと小さく頷く。
「でもどうしても……会いたかったんだ」
そう言ってまたニッコリと笑って見せると、男が不思議そうに首を傾げて僕を見た。



