「聞け!!我が同胞達よ!!」

その突然の俺の叫びに、グレノア兵士達は困惑した様子で俺を見上げた。

切り立った崖の上、目の前に広がる黒い影達をグルッと見回すと、また大きく息を吸う。

「我が名はロイ・セレリア!セレリア国第一皇子であり……この世界を救う勇者である!!」

その俺の叫びにグレノア軍の兵士達にどよめきが起こった。

それと共に数人の兵士達は俺に向かって真っ直ぐに指を差している。

『……ロイ様?』

『ロイ様だ!!』

そう言って元々セレリアの兵士だった奴等は、俺を見上げながら嬉しそうに歓声を上げた。

もちろん皆はとっくに俺は死んでいたモノだと思っていたはずだ。

『勇者様?』

『あいつがか?』

グレノア兵士達は困惑した様に顔を見合わせ、歓声を上げるセレリア兵士達を横目にざわざわと騒いでいる。

そんな彼等のざわめきを無視してグッと拳を握り締める。