城の中に入るとそこでは大勢の兵士が慌ただしく働いていた。

壁の補強をしたりずっと放置され埃の溜まった部屋をせっせと片付けている。

……どうやら時間を持て余している様だ。

グレノア軍がここに向かっていたとして、到着するのは恐らく二日後ぐらいになるはずだ。

そのグレノア軍の中にはセレリアの兵士達も大勢混ざっているはず。

……俺はそこに賭けようと思っている。

そんな事を考えながら城の入口の大きな扉を抜け、俺の部屋へと向かって長い廊下を進んで行くと、、俺の姿に気付いた兵士達が床に膝をつき慌てて頭を下げた。

そんな事はしなくていいともう何度言った事だろうか。

しかしこの異常気象や地震の続く世界の状況を前に、俺を勇者だと信じて疑わない彼等はまるで神の様に俺を崇めている。

居心地の悪い視線と羨望の眼差しを一身に受けたまま、長い廊下を真っ直ぐに部屋へと向かって進んで行った。