いつもの様に裏路地に続く曲がり角を曲がると、そこには凄い人だかりができていた。
……何かあったのかな?
後ろから背伸びをして人だかりを覗き込むと、野次馬たちの囁きが耳に届く。
「飛び降りだってよ」
「何かあったのかしらね」
その野次馬たちの呟きに、ドクンと大きく心臓が鼓動を打った。
それはまるで僕にその答えを教えるかのように、ドクドクと激しく鼓動を打ち続ける。
……そんな……そんなはず……
すでに感じ始めている残酷な現実に気付かない振りをしながら、フラフラと人混みを掻き分けて進む。
そしてその先に見えた最悪な光景に……大きく目を見開いた。
「……お母……さん?」
そう声を震わせて、歪んだ笑みを浮かべる。
目の前の地面には、夥しい量の血が真っ赤な池を作っていた。
その中心にうつ伏せの状態で……母が倒れている。
その周りには救急隊の人達が母を取り囲む様にして立っていた。
「お母さん!!」
そう母を呼び駆け寄ろうとすると、救急隊の男が僕の腕を掴んでそれを止める。
「……放せ!!放せよ!!お母さん!!」
母を呼びながら取り乱す僕を男は悲しそうに見つめると、それから静かに首を横に振った。
「お母さんは亡くなった。……遺体は見ない方がいい」
その男の言葉と共に、持っていた四葉のクローバーがヒラヒラと宙を舞い、母の流した赤い池へと落ちる。
四つ葉のクローバーが血で赤く染まると同時に、救急隊の男達に母の遺体が運ばれていった。



