ぼくと世界とキミ


家を飛び出してからブラブラと町を彷徨い歩き、気が付けば河原に辿り着いてしまった。

昔父に教えてもらった様に、そこら辺に落ちている小石を手にすると、それを水面を切る様に投げる。

すると小石はピョンピョンと水面を何度か跳ね、ポチャンと暗い水底に沈んで行った。

そんな事を何度か繰り返していると、不意に足元にクローバーが咲いている事に気が付いた。

……幸せを運ぶ四つ葉のクローバー。

また昔の記憶が頭を過り、しゃがみ込んで辺りを探す。

しかしどれもこれも三つ葉ばかりで、四つ葉のクローバーは一向に見つからない。

……そんな簡単には見つからないか。

低姿勢のまま辺りを念入りに探し続ける。

四つ葉のクローバーを探しながら、何度も昔の思い出が頭を過り、勝手に涙が溢れてくる。

それは楽しく幸せだった……今ではあまりにも遠過ぎる記憶。

ゴシゴシと溢れる涙を腕で拭いながら、四つ葉のクローバーを探す。

……四つ葉のクローバーが見つかれば……きっと大丈夫。

……お母さんとも仲直りできるはず。

そんな都合のいい自分ルールを作り、必死にクローバーを探し続けた。

それから一時間程経った時だった。

「……あ、あった!?」

そう声を上げて確認する様に顔を近付けると、そこには確かに四つ葉のクローバーがあった。

葉が取れてしまわない様にそっとそれを摘むと、ゴクリと息を呑んで立ち上がる。

……お母さんに酷い事を言ってしまった。

……謝らなくちゃ。

四葉のクローバーに勇気付けられ、家へと向かって走り出す。