ぼくと世界とキミ


《ウオーーン!!》

ク―が急に空を仰ぎ、そして大きな声で吠えた。

そしてク―の赤い瞳が俺を捉え、まるで何かを訴えている様に感じる。

《ウオーーーン!!》

ク―はもう一度大きく吠える。

その姿が……泣いている様に見えた。

それからク―は真っ直ぐに俺を見つめると、赤い瞳を静かに揺らした。

「……お前」

そう声を震わせ、グッと剣を握り締める。

……クーは自分が元に戻れない事を知っている。

残された道は……一つしかない。

俯く顔を上げると、真っ直ぐに剣を構える。

……残酷な《殺戮者》に向かって。

「来い!!」

その俺の叫びと同時に……クーが走り出す。

そっと……瞳を閉じた。

どこまでも深い闇の中、様々な思い出が瞬く間に蘇る。

……誇らしげに村を見回る姿。

……遊んでほしいと、しつこく迫られた事。

……愛らしい仕草。

……優しい……赤い瞳。

そして……剣を振り下ろした。

その瞬間、辺りを眩い光が照らす。