村に着くと……そこはすでに《廃墟》だった。
家は焼け崩れ、炎と灰色の煙が立ち昇っている。
到る所に無残な死体が転がり、辺りに血生臭い不吉な香りが漂っていた。
……ライラ。
心の中で何度も彼女の名前を呼びながら、全力疾走で彼女の家へと向かう。
何度も彼女とク―と繰り返し歩いた思い出の道を、彼女の家へと向かって走り続ける。
一面に美しい花が咲き誇っていた花壇は踏み荒らされ、道沿いを流れていた小川は……誰かの流した血で赤く染まっていた。
そして彼女の家の前に辿り着くと、そこには……血だらけで横たわる《彼女》の姿を見つけた。
「……ラ……イ…ラ」
擦れる声で彼女の名を呼びながら、フラフラと血だらけの彼女の元へと歩く。
「……おい……ライラ……なぁ」
声を掛けそっと彼女を抱き起こすと……すでに息をしていない事に気が付いた。
……まだ微かに彼女の温もりを感じる。
彼女の体には引き裂かれた様な酷い傷があり、そこから虚しく赤い鮮血が滴り落ち俺の服を濡らす。
《グルルル》
その低く不気味な唸り声と共に、後ろから禍々しい気配を感じた。
それに答える様にゆっくりと後ろを振り返ると、そこには……俺の愛しいモノを奪った《殺戮者》がいた。
まるで俺を威嚇するように剥かれた牙と、立てられたフサフサの長い尾。
黒い獣の様な体からは、禍々しい赤いオーラが立ち昇っている。
そしてその首には……真っ赤なリボンが結ばれていた。
風に悲しく靡くその《赤》を見つめたまま、微かに唇を震わせる。



