ぼくと世界とキミ


    *

「もう……逃げられないよ?」

そう言った一人の幼い少年が、逃げようと走る私の前に立ちはだかった。

その初年の右目は禍々しい赤い闇を纏い、それは真っ直ぐに私を見つめている。

「どうしてこんな事をするのよ!!」

その私の叫ぶ様な問いに、少年はクスリと嘲笑を浮かべた。

目の前には……沢山の人間が転がっている。

……向かいに住んでいた夫婦。

……一緒に遊んだ女の子。

私のよく知っている人々が、真っ赤な海に溺れる様に……死んでいた。

「それがルークの願いだからさ。お姉さんに言っても分らないだろうけどね?」

そう言って少年は笑うと、そっと右目に手を当てた。

その瞬間、少年の体から赤い不気味なオーラが立ち昇り、その禍々しいオーラは次第に何かの形を形成していく。

……《鎌》だった。

少年の体の倍はある、黒く鋭い大きな《鎌》