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「もう……逃げられないよ?」
そう言った一人の幼い少年が、逃げようと走る私の前に立ちはだかった。
その初年の右目は禍々しい赤い闇を纏い、それは真っ直ぐに私を見つめている。
「どうしてこんな事をするのよ!!」
その私の叫ぶ様な問いに、少年はクスリと嘲笑を浮かべた。
目の前には……沢山の人間が転がっている。
……向かいに住んでいた夫婦。
……一緒に遊んだ女の子。
私のよく知っている人々が、真っ赤な海に溺れる様に……死んでいた。
「それがルークの願いだからさ。お姉さんに言っても分らないだろうけどね?」
そう言って少年は笑うと、そっと右目に手を当てた。
その瞬間、少年の体から赤い不気味なオーラが立ち昇り、その禍々しいオーラは次第に何かの形を形成していく。
……《鎌》だった。
少年の体の倍はある、黒く鋭い大きな《鎌》



