「アンタは本当にそれでいいのか?」
再度同じ質問をぶつけると、カインは何も答えないまま俯き続ける。
「この人はまだ生きているんだろ?今ならまだ間に合う……」
「やめてくれ!!」
俺の言葉を遮る様にカインが声を荒げ、刺す様に鋭い視線を俺に向けた。
「貴方に僕達の何が分かるんだ!!僕達がどんな思いでこの未来を選んだか知らないくせに!!悩んで、泣いて、怯えながら、逃げ出す事もできずに、国のためだと自分を殺す事を選ぶしかなかった僕達の何が、貴方に分かるって言うんだ!!」
そう叫び嘲笑を浮かべるカインの頬を、音も無く涙が伝って行く。
「平気なはずないじゃないか!!十六年間、隣でずっと笑っていた大事な妹を、この手であの十字架に括り付けなきゃいけない苦しみが貴方に分かるのか!!静かに増えて行く水に、苦しそうにもがく妹をただ見ている事しかできない無力さが貴方に分かるって言うのか!!」
溢れる様に涙を流したままカインは俺を睨みつける。



