ぼくと世界とキミ


「メルキアの王家には、何十代も前から《双子の兄妹》しか生まれません。その子供達は十六歳の誕生日を迎えるまで分け隔てなく、誰からも愛しまれながら育てられます」

そう語るカインの拳が、いつの間にか強く握り締められている。

「そして十六歳の誕生日と共に、兄は王家を継ぐために徹底的な教育を受け、妹は……《メルキアの女神》になるためにこの場に連れて来られます。そして《贄の装飾》と呼ばれる腕輪を嵌められ、水の中に沈められる」

カインはそう言うと、握り締めた拳をカタカタと震わせた。

……そうか。

……あいつと一緒なんだ。

森で出会ったあの少女の事を思い出す。

少女が自らの命を犠牲にして守った結界。

……きっとこの人も同じなんだ。

腕輪に自らの生命力を注ぎ、メルキアを守る結界になる。

……誰かを救うための犠牲。

……どうして無くならないのだろうか。