ぼくと世界とキミ


「……見てしまったんですね」

突然聞こえた男の声に勢いよく後ろを振り向くと、そこには……悲しそうに笑うカインが立っていた。

「これはどういう事なんだ!?この人は……」

「この子は僕の……双子の《妹》です」

俺の言葉を遮りカインはそう答えると、静かに水槽へと向かって歩いて来る。

「双子の……妹?」

その震える自分の呟きと共に……さっきの絵本の話が頭を過った。

「ロイ様はメルキアの女神の話をご存知ですか?」

そのカインの問いにコクンと頷いて答えると、カインはクスリと微かに吐息を漏らす。

「その女神の正体が……この子なんです」

カインはそう言って愛おしそうに水槽に手を触れ、水の中で静かに目を閉じる《彼女》を見つめた。

……この人が……女神。

緩く結われている髪が、水槽の中を漂う気泡でユラユラと美しく揺れる。

その姿は神々しく、そしてとても悲しく見えた。